HEAVEN ROAD
「おいっ。どこ行くんだよ」



女子トイレなのにも関わらず、中へと入ってくる豊。



でも、今はそんな事気にしてられない。



手前から3番目の個室……



そこから伸びている足。



あたしは恐る恐る近づいた。



やっぱり……



ボコボコにされた明美が倒れていた。




「明美。ごめん」



あたしは全身水浸しの明美を抱え上げた。



「……構うんじゃねぇよ」



力を振り絞ってそう言う明美の姿に涙が溢れ出す。



「明美。いいからっ!!」



あたしが抱きしめると抵抗をする明美。



離せと言う様に動くけど、明美にはあたしを振りほどくだけの力は残っていない。



腫れ上がった目に、青くなっている体。



「明美。もういいから。あたしなら平気だ。あたしはこのくらい慣れたもんだ。だから、もういい」



あたしは明美の頭を撫でながらギュっと力強く抱きしめた。



耳元でかすかに聞こえた明美の声。



「……馬鹿だな」って言葉にあたしの視界は何もうつさないくらいに歪んでいた。

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