HEAVEN ROAD
「どけろ」



「ヤダ」



豊に肩を掴まれたあたしは咄嗟に拒否反応を見せてしまう。



これ以上、明美を傷つけたくなくて、トイレにいたのが豊だって事を忘れていた。



「二人を抱きかかえる事はできねぇ」



怒られても仕方ないはずなのに、優しい豊の言葉にあたしは驚き、明美から体を離した。



「悪りぃ」



「保健室連れてくぞ」



「頼む」



軽々と明美を抱えあげた豊は保健室へと向かう。



ぶらんと垂れ下がる明美の手からは血が滴り落ちてきて、後ろから眺めているだけで吐きそうになる。



必死に冷静を保ちながら、豊の後ろを追いかけた。
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