HEAVEN ROAD
豊はゆっくりとベッドの上に明美を降ろすと、すぐに保健室を出て行った。
運んでくれただけかよ。
あたしはかすり傷程度の手当てなら出来るけど、明美の傷はどこから手当していいのかわからない。
でも、今はあたしがやらなきゃ。
制服の袖をまくり、戸棚から消毒液や包帯などを適当に取り出した。
血まみれの明美の腕触れようとしたその時「触るな」という豊の声に体が固まった。
あたしはゆっくりと後ろに振り返ると、大輔さんと一緒に戻ってきた豊の姿が目に入る。
「カナさんいいですか」と言いながら大輔さんはあたしの体を押し避け、明美に近づく。
「豊?」
「大輔に任しておけ」
「でも……」
「コイツは医師免許を持ってる」
「はっ?」
あたしは大きな声を出した後、ハッと思い口を抑えた。