HEAVEN ROAD
「おいっ、どこ行く?」



あたしの後を追いかけてきた豊は機嫌が悪そう。



「明美のジャージ探しに行く」



「俺が取ってくる。お前はここにいろ」



「でも……」



あたしは明美のあんな姿も、秀の姿も見ていたくないんだ。



この現実から逃げ出してしまいたいんだ。



「明美の友達だろ。いてやれ」



豊のその言葉にあたしは“嫌だ”とは言えなかった。



豊にあたしの気持ちが見透かされているようで、これ以上自分勝手な女だと思われたくなくて、出かかった言葉を飲み込んだ。

< 705 / 877 >

この作品をシェア

pagetop