HEAVEN ROAD
肩を抱いていたはずの豊の手がいつの間にかあたしの頬に触れている。



「例えお前が殺人者だろうと俺はお前を手放したりしない。お前の罪も傷も全部一緒に背負ってく」



「……っう」



ママでさえあたしを手放したんだ。



血の繋がった親でさえあたしの心を理解してくれなかった。



それなのに……



嘘だとしてもこんな言葉をもらえただけで、もう充分かもしれない。



例え豊に理解されなくても、受け入れてもらえなくても、あたしはこの言葉だけで強くなれる気がする。



止め処なく流れ落ちる涙を豊は丁寧に拭ってくれる。


この涙がまるであたしの気持ちのように一粒一粒豊に救われていくんだ。

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