HEAVEN ROAD

あたしの口からこの事を話すのは最初で最後だろう。



だから、丁寧に言葉を選んだ。



「中学校で一番仲のいい子だったんだ……」



ふと美央の笑顔が頭を過り、温かい気持ちになる。



でも、あたしが最後に見た美央の顔は笑顔じゃない。



「それなのに……ママは美央のお父さんと不倫した。あっ、美央(ミオ)っていうのは祐樹の妹」



「あぁ」



いつもは聞いてんのかわからない豊の相槌に腹が立つけど、今日はこの相槌が心地いい。



「不倫のことはすぐに噂になった。それで……あたしは仲間外れにされた。クラス中がママのことを白い目で見た。あたしのことも……」



あの時の刺さるような視線は今思い出しただけでも鳥肌が立ってくる。



軽蔑の視線……

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