HEAVEN ROAD
「始めは仕方ないって思ってた。ママは好きになっちゃったんだし、人の物を取るのは悪い事だし……」



そう。



理解はしようと思っていた。



ママの恋もあたしの状況も……



「だけど、仲間外れからから始まった、クラスの視線は学校中に広がっていって……陰口や意地悪な行為がエスカレートしていった」



「いじめられたってことか?」



「あたしはそんな風には思っていなかったけど、今考えるとそうかもしれない」



人の物をとってしまったママは悪い。



そして、その恋を応援しようと思っているあたしも悪い。



だから、このくらいの事は仕方ない。



あたしは罰を受けなければいけないと思っていた。



でも、その罰はあまりにも辛すぎた。



上靴に画鋲を入れられていた頃が懐かしく思えるくらいに……



“母親は泥棒猫”と毎日のように言われ続け、その言葉はいつしか“泥棒猫”とあたしへと向けられた。



あたしの私物がなくなるなんてお決まりの事だったし、給食の残り物はいつも机の中に入れられていた。

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