HEAVEN ROAD
豊の声は遠くからしていたはずなのに、首を戻す一瞬の間に豊は目の前に現われていた。



瞬間移動でもしてきたみたいなスピードだ。



大輔さんの話しによると、明美の怪我は見かけほど酷くはなくて、2、3日もすれば痛みは引くらしい。



だから、もしかしたら今日学校に来ているかな?なんて思い、明美の教室を覗いて見たけれど、明美の姿が視界に入ることはなかった。



「翔、来ないね」



「あぁ」



最近の屋上は静かだった。



チータのことを豊が発表?してからはその話題で持ちきりだったんだけど、段々と人が寄り付かなくなっていった。



仲間のことを思うと、この場所にいることが辛いのだろう。



あたしもそうだったから……



そんな中、豊は何も変わらない素振りで屋上にいる。



毎日、毎日、屋上にいる。



豊だって、辛いはずなのに……豊はこの状況から逃げようとはしないんだ。

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