HEAVEN ROAD
「昨日は明美が世話になった」



俯いたまま秀は聞き取れないくらい小さな声で話しだす。



「明美がやられたのは俺のせいだ」



あたしは見たことがない秀を目の前にして相槌さえうつことが出来ないでいた。



「明美は何度も俺の家に来たんだ。話があると……でも、俺は聞かなかった。しつこい明美に近所迷惑だから帰れと追い返した」



豊も相槌をうたないから、秀は独り言のように小さな声で話している。



「そしたら、あいつ学校で待ってるって言ったんだ。学校に行けば、自分がどんな目に合うかなんてわかってるのに……俺が話を聞いてくれるまで、毎日学校に来るってよ」



明美らしいと思った。



明美はいつもは軽い感じでいるけれど、いつだって真っすぐなんだ。



あたしみたいに自分を庇うために逃げたりしない。



「俺が……俺が話を聞いてやってれば、こんなことにならなかった」



「そうだな」



突然、豊が口を開いた。



自分のせいだとこんなにも落ち込んでる秀にそんな冷たい台詞……



「怖かったんだ。話を聞いてしまえば、本当に明美とは終わっちまう気がして……怖かったんだ」



顔を両手で覆いながら蹲る秀。



あたしはこんな秀の姿はもう見ていられない。

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