HEAVEN ROAD
「明美だって怖かったはずだ。お前と話をするのも、毎日学校にくることも。それでも明美は逃げなかった。あんなにボコボコにされても明美は逃げなかったぞ」



追い打ちをかけるような豊の言葉に、あたしの胸は引き裂けてしまいそうだ。



確かに豊の言っていることは正しい。



“怖かった”といえば明美のほうが怖かったかもしれない。



でもね、豊。



人はそんなに強くない。



無条件に逃げ出してしまう生き物なんだ。



豊みたく、どんなことにでも真っ正面からぶつかっていける事は当たり前なんかじゃない。



豊が特別なんだ。



だから、これ以上秀を責めないで。



秀の心を突き放さないでほしい。

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