HEAVEN ROAD
明美が施設育ち?



「そうでしたか。では、付いてきて頂けますか」



「はい」



看護婦さんに連れられて秀は扉の向こうに消えていった。



この頃の施設っていうのは、酷い場所が多かった。



親がわりになってくれるなんてことはなく、殆どが放置状態。



ただ、食事を与えて寝る場所を提供する。



その程度のものだった。



中には家族みたく温かく迎えてくれる場所もあっただろうけど、今この場所に施設関係者の人が一人も来ていないということは明美の施設は前者なのだろう。



「明美……施設って知ってた?」



「あぁ。秀から聞いてた」



「そっか」



いつでも明るい明美が何かを抱えていたなんてあたしは気づきもしなかった。



もしかしたらと疑う素振りさえ明美は見せていなかったんだ。



あたしはやっぱり人を正しく見ることが出来ない。



上辺の表情だけでその人を判断しているんだと確信してしまう。

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