HEAVEN ROAD
「それとこれ……」
もう一つあたしの目の前に突き出されたのは紙袋だった。
「何?」
「食いもんと薬」
「なんで?」
あたしは豊に家庭の事情ってやつを話したことがないのに、なんでそんなもの持って来てくれたのかわからなくて首を傾げると、豊はあたしに背中を向けた。
「さっき一回鞄持ってきたんだよ。そん時、明かりがついてねぇから母親とか家にいねぇんじゃないかと思ってよ」
「ウチ両親いない」
洞察力っていうのか?!
そんなことだけでご飯と薬にたどり着く豊は凄いと思う。
ジャージに手を突っ込みお尻を掻きながら関心していると、「ケツ掻くな!!」と怒鳴られた。
お前の目は背中についているのかい?
「なら丁度いい。食べろよ」
「でも、何か悪いな。鞄に昼の弁当入ってるから心配してくれなくても大丈夫なんだけどな」
「そんなもん食うな!!腹壊すぞ」