HEAVEN ROAD
本当はあたしだってそんな事聞かされたら怖いさ。
怖いけど……
隠れて怯えていたってしょうがない。
明美がこんな目に合っているのに、あたしだけ怯えて逃げる事だけはできねぇんだよ。
あたしは明美の仲間なんだから。
「敵は取ってやる」
秀は明美の頭にそっと手を乗せた。
「私のことはいい。自業自得だから。秀ちゃんを裏切ったんだから……」
「俺は別れるなんて一言も言ってねぇぞ。明美は俺の女だ。二度と忘れないようにしろ」
「……っう……グスッ」
「秀。泣かせんなって」
「この涙はいいんだ」
そう言って秀は明美を抱きしめる。
わかってるよ。
これは嬉し涙。
明美。
あんたの事を誰よりも大切に思ってるのはこの男だよ。
あたしは今回それを思い知らされた。
「明美。聞きたいことがある」
2人がいい雰囲気になってるっていうのに、豊は空気を読めないのか明美に話しかけた。
「はい」
明美は涙を拭い、秀の体から離れる。
もう少しこのままにしてやればいいのに……