HEAVEN ROAD
「チータに連れて行かれた事を詳しく聞かせてくれ」
「豊!!」
そんな話明美はしたくないだろ?
しかも、今じゃなくたって……
こんな姿の明美を目の前にして、顔色一つ変えずにそんな事を言える豊に腹が立つ。
「カナ。大丈夫」
そう言ってあたしの手を握り締めた明美はゆっくりと話し出した。
「学校にいたはずなのに、気付くとどこかの部屋にいたの。部屋っていうよりは倉庫みたいな所だった。薄暗くて広くて……チータはその場所にはいなかったんだけど、同じくらいの歳の男の子達が沢山集まっていて、バイクも止められていた。あれがバーバリアンのメンバーなんだと思う」
「そこの場所はわかるか?」
秀も身を乗り出して明美の話を聞く。
「わからない。ただ、私は目を覚ますとすぐに車に乗せられ、どこかに連れて行かれた。その時に南高が見えた。車で10分くらいの場所に着くと私は目隠しをされて歩いたんだ。階段を降りたから、あれは地下だと思う」
「地下?」
「うん。中に入ってから目隠しをはずされたけど、窓は一つもなかったし、部屋の中がひんやりとしていた」
「そこには誰が?」
豊は目を閉じながら明美の話を聞いているだけで、相槌は秀がうっていた。
「見覚えのある人はチータだけ。あとはわからない。ヘブンと秀の事を話せって脅された。でも、何一つ話さなかったから。だから、こんな体になっちゃったけど……」
「女に手なんか出しやがって」
秀の顔つきがどんどんと崩れていく。
「秀ちゃん。私がわかるのはこれくらい」
「ありがとう」
明美に話しかけられた秀はすぐに元の優しい表情へと戻る。