HEAVEN ROAD
「今年行きたいの」



「その足じゃ無理だろ?」



「松葉杖使えば歩けるんだし、平気でしょ?」



「平気なら何でまだ入院してんだよ?」



明美の傷は見かけは足以外殆ど良くなっているように見える。



でも、なかなか退院するという話を聞かないから、まだどこかに治っていない所があるのかもしれないと、心配していた時だったのに……



コイツときたら……



海なんて無理に決まっているだろ?



「退院しないのは一志さん?の配慮らしいよ。リハビリに通うのが大変だからって」



「一志さん?」



「うん。ここの病院に顔が利くみたい」



一志さんならそんなこともやりかねないなんて思いながら、あたしは海の話しに話を戻す。



「でも、その足じゃ無理だろ?」



「無理じゃないって」



「秀はいいって言ったのかよ?」



「そのことでお願いがあるの」



何だか嫌な予感がする。

< 760 / 877 >

この作品をシェア

pagetop