HEAVEN ROAD
屋上には秀の姿がある。



あたしってついてるかも。



嬉しさを顔に出さないように秀に近づいた。



隣にはもちろん豊がいる。



これも明美の作戦のうち。



「秀。話があるんだけど」



「ん?」と顔だけをこちらに向ける秀。



「明美が……」



「何かあったのか?」



よしよし、秀が話しに食いついてきてる。



「海に行きたいって」



「はっ?」



「最後まで聞けよ。あたしも最初はそう思ったんだよ。でも、明美ずっと辛い想い隠して笑ってるんだ」



「あぁ」



秀の顔色が段々と曇っていく。



横からは豊の視線を感じるし……



「リハビリも辛いはずなのに、文句一つ言わないで頑張ってるだろ?だから、明美の言うこと一つくらい叶えてやりたくて……医者からは8月なら行っていいって許可もらったんだよ」



「うーん」



秀は頭を抱えたまま黙り込んでしまう。


< 764 / 877 >

この作品をシェア

pagetop