HEAVEN ROAD
「用意できてるなら行くぞ」



「はーーい」



豊の一言にやっと明美は行く気になってくれたらしい。



何を詰め込んだんだか、大きな鞄を秀に持ってもらい病室を出た。



「外に出るのドキドキするんだけど」とまたもやはしゃぎながら。



あたし達はお決まりのように大輔さんの車に乗り込んだ。



豊と秀は途中で降りて、買い物はあたし達二人。



明美の要望で男ナシでの買い物が決まった。



でも、いつ狙われるかわからないからあたし達の警護役には大輔さんが……



警護役というよりはお守りに近い。



大輔さんはそんなんでいいのだろうか?



あたしは大輔さんの後姿を見つめながらそんな事を考えてると……



もう豊の家に到着していた。



「チョロチョロすんなよ」と豊があたしのおでこを小突く。



「しねぇよ」



それに対し秀は「楽しんで来いよ」と明美の頭を撫でる。



「ありがとう。秀ちゃん」



なんなんだ?



この明らかに違う温度差は?



そんな光景を見ても相変わらず表情一つ変えない大輔さんは「行ってきます」と豊と秀に頭を下げて車を発進させた。

< 769 / 877 >

この作品をシェア

pagetop