HEAVEN ROAD
「駄目!!私が選ぶのにして」



片足しか踏ん張れない明美のどこにこんな力があるのかわからないけど、あたしは肩を掴まれ明美に水着を取り上げられた。



「明美は自分の選んでろよ」



「私はもう決めたから」



そう言って明美はピンクのビキニを顔の横に上げる。



悩んでいたのはフリルが付いているか付いていないかだけ。



どっちも変わらないと思うんだけど、それが水着には重要らしい。



「カナにはコレが似合う」



そう言って明美が手にしたのは黒のビキニ。



「そんなの嫌だからな」



「コレに決まり」



あたしの話をまったく聞かない明美は松葉杖に水着をかけながらレジがあるほうへと歩いていってしまう。



「待てよ。明美!!」



あたしの制止は何の役にも立たずに明美は勝手にあたしの水着まで買ってしまった。

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