HEAVEN ROAD
こんな風に豊をまじまじと見たのは久しぶりで、あたしは照れくさい気分になってしまう。



「お前も来いよ」



水の中で上手く力をいれられないあたしは豊に引っ張られるまま、豊の胸の中へと収まってしまう。



「体、熱いな」



「この気温だし」



明美たちのようにあたし達はじゃれあう事は出来ないけれど、あたし達なりにいつもよりは素直になっている気がする。



「泳げるのか?」



「たぶん」



「なら、もう少し行くか?」



そう言いながらあたしの体を少し持ち上げた豊は首を曲げてあたしの顔を覗き込んでくる。



近い……



顔が近すぎる。



「おーい!!豊~カナ~肉焼けたぞ!!」



あと少しで唇が触れそうになったとき、砂浜から両手を振りながら秀があたし達を呼んだ。



「チッ」



豊は急に不機嫌な顔をして、秀のもとへと向かって歩き始める。



危なかった。



あのままキスされてたら、あたしの心臓は爆発してたかもしれない。



あたしは胸の辺りを押さえながら、豊の後をついて歩いた。

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