HEAVEN ROAD
「もうやめろ!!チータは家族のためなんだよ!!その弱みにジュンが付け込んだんだ!!豊、負けたって言ってくれ」



あたしはこのままだと本当にチータが死んじゃうような気がして、２人のいるところまで駆け寄ろうとした。



でも、翔の言いつけをきちんと守るヘブンの面子に体を押さえつけられる。



「カナさん。危ないです」とか「動いちゃ駄目です」なんて言われながら。



それでも、あたしはこのままナイフが動いていくのをじっと見ていられなくて大声で叫んだ。



チータ。



豊。



こんなの間違ってる。



「カナちゃん」



涙なのか、鼻水なのかわからないけど顔はぐしゃぐしゃで、何人もの男に体を押さえつけられながら叫ぶあたしにチータは優しく笑いかけてくれる。



「チータ。やめろ。そんなこと間違ってる」



「ごめんね。カナちゃん。間違っていたとしても俺は馬鹿だから他の方法がわからないんだ」



「方法なんていくらでもあるだろ？金のために死ぬって言うのかよ？」



あたしはチータの言葉に沢山の想いをこめて言葉を返す。



死なないで欲しい。



わかって欲しい。



でも、チータにあたしの言葉は届かない。

< 833 / 877 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop