HEAVEN ROAD
「病院に行くんだろ?」



「もう殆ど退院したから、今日は帰る」



あたしは校舎から出ていく豊の背中を追いかけながら話しかけると、振り返る事すらしてくれない豊の声だけが耳に届く。



バーバリアンとの戦いでヘブンのメンバーは沢山の傷を負った。



入院や手術をした奴らも大勢いて、あたし達はそいつ等の見舞いに行くことが日課になっていたけど……



もう行かなくてもいいんだとわかると少し寂しい。



名前も顔も殆ど知らなかった奴等と距離が近づいた感じがして結構楽しかったのにな……



「おい!!豊、どこ行くんだよ?!」



校門を過ぎても歩き続ける豊にあたしは声をかけた。



いつもだったら、この辺に車が止まっていて……



何も言わずに車に乗り込むはずなのに……



今日は大輔さんがいない。



いつもの車が止まっていない。

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