HEAVEN ROAD

「もともとお腹が弱くてね」



「お前、腹だけは強いんじゃなかったか?!」



呆れた豊の声が聞こえると、あたしを摘んでる手の力が少し緩んだ気がした。



今だ!!



あたしは思い切り前に体重をかける。



「おいっ!!」



「へへん!!それじゃあな!!」



豊から無事に脱出したあたしは、豊との距離を保ちながら後ろへと後退りをする。



「豊?何してるの?」



「静香(シズカ)」



その時、豊の背後から黒髪の女が現れた。



その女に振り返った豊の顔は鬼のような顔ではなく、優しい表情をしている。



そんな顔もできるんじゃねぇかよ。
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