HEAVEN ROAD
「今日は歩きだ」



そう言って振り返る豊の顔はやっぱり笑ってなんかいないけど、あたしは差し出された手をしっかりと握り締めた。



相変わらず風は冷たいけど、あたしの気持ちは穏やかで豊と並んで歩くだけで幸せだなんて柄にもなく思ってしまった。



「豊の顔もやっとまともになってきたな」



「あっ?」



「傷が治ってきたって意味だよ」



「じゃあ、始めからそう言え」



ジュンに殴られて豊の体中いたるところが痣になったり切れたりしていた。



「病院に行くほどじゃない」


「たいした傷じゃない」


って豊は言っていたけど本当は凄く心配していた。



豊に手を引かれ、歩いているのはいつもの道じゃない。



この道はあたしの家のある方向。

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