HEAVEN ROAD
「あるだけ貸してもらいたいです」



「その金を何に使う?俺の金な訳じゃないから、一応聞かせてもらう」



祐樹は煙草を口に咥え、真剣な顔つきに変わる。



あたしの金ってなんだろうな?



聞きたいけど、今は口を挟んじゃいけない気がするし……



「どうしても言わなきゃいけませんか?」



「……その理由をコイツは知ってんのか?俺が管理しているだけでコイツの金だからな」



そう言って祐樹はあたしのほうを指差した。



そうだよ。



あたしの金なんだろ?



それなのに当人は何の金かわからないなんてことあるのかよ。



「カナは知ってます。それにカナにとっても必要な金なんです」



「あたしはそんなの初耳だけど?」



あたしの言葉に豊は物凄い顔であたしを睨み詰めた。



嘘言って祐樹から金借りようなんて姑息な男にあたしのほうが怒ってるんだけど。



あたしも負けじと豊を睨みつける。

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