HEAVEN ROAD

「当たり前だろ。通帳だってお前名義だ。お前が使わないなら貯まっていくばっかりだ。学費やお前の小遣いはそこから勝手に引き出さしてもらってるけどな」



「あたし……それを使う権利ない」



そうだよ。



あたしが使っていいものじゃない。



「一度でも親父の籍にお前が入った。それだけで十分使う権利はある」



「でも……」



そう言い切る祐樹だけど、あたしは納得がいかない。



「もし、親父にありがたいって気持ちがあるなら、たまに連絡してやれ。俺は月に一回飯食いに行ってるから一緒に行ってもいいし」



そうだったんだ。



祐樹は父親を憎んでいるとばかり思っていたけど、そんなわけじゃないんだ。



きっとお父さんのことを理解したんだな。



祐樹はきっと理解しようと努力したんだ。



「わかった。その金使わせてもらう。そうしよう。豊」



豊は黙ってあたし達の会話を聞き、あたしの言葉にコクリと頷いた。

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