HEAVEN ROAD
そして、千と萌は帰っていった。



2人で仲良く手を繋ぎながら。



帰り際、萌の涙はすっかりと引いていて眩しいほどの笑顔を見せてくれる。



萌の笑顔を見ながらふと宗の笑顔を思い出した。



太陽のように温かい宗の笑顔を……




「読まないのか?」



隣で座ったままの豊が暢気に煙草なんか吸いながら、あたしの顔を見上げる。



「読むけど」



あたしの手には乱暴に四つ降りされたノートの切れ端が……



萌が帰り際「宗から頼まれた」と言ってあたしの手の平に置いていったこの紙切れ。



あたしはその紙切れを人差し指と親指で摘みながら開いた。



宗の綺麗な字が瞳に映った瞬間、熱いものが込み上げてくる。



喉の奥がキューンとなって、今にも涙を零してしまいそうだ。

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