御曹司様のことなんて絶対好きにならない!
しばらく続いたキスにぼうっとした私を優しく見つめたまま、耳に新たな熱が注がれる。

「このまま帰すとか無理って言ったら、香奈美はどうする?」

「‥‥うん」


自分から係長の胸にくっ付いて両手をその広い背中に回した。私も同じ気持ちだって知って欲しいから、私に出来る最大限の表現。

「そんな可愛いの、犯罪だよ?」

優しく笑う声がとても嬉しそうで、私も嬉しくなる。



係長こそ、そんな嬉しそうにするなんて犯罪です。私の事欲しくてたまらないって言われてるみたいで、好きが加速します。



ギュッと抱きつく力を強めた私の頭を撫でてから、係長はタクシー乗り場に歩き出した。
私の肩を強く抱いたまま。




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