御曹司様のことなんて絶対好きにならない!
伝票入力をいったんやめて、社内メールを開いて知恵ちゃんにメールを送る。

『今日のランチ、紫陽花亭の限定ランチどう?私、ダッシュ出来そうだから先に並んどくからさ。
知恵ちゃんは仕事、キリつきそう?』



「そんな嬉しそうな顔して、誰にメールしてるの?」

左耳の横から急に聞こえて来た声に驚いて、椅子ごと右側に飛び退いた。


「何するんですか〜〜!ってか近過ぎです!」

近過ぎる声と一緒に吐息も伝わって、真っ赤になってしまった耳を手で隠しながら叫んだ。
しかし抗議をスルーしてPC画面を覗き込んだ坊っちゃまは、私の方に顔を向けてニコリと微笑んだ。

「紫陽花亭かぁ、確かにあそこのランチは美味しいよね。俺も一緒にいっていい?」

「ダメです!結城さんと2人で行くんです。それより勝手に人のメール見ないでください!」


その時、ポンッとメールボックスが受信音を鳴らした。
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