御曹司様のことなんて絶対好きにならない!
「こう見えてね、井深さんは女性の敵なんですよ。こないだも経理課の女子社員をもて遊んだらしくて」

ワザとらしくため息をついて言ってるけど、口調は完全に面白がっている。

「あれは向こうも悪いんですよ。遊びでいいからって言っといて、関係持ったら責任取れって詐欺でしょ」

井深さん‥‥知らなかったがなかなかにプレイボーイらしい。そういや、バレンタインにチョコレート抱えてるの見た事あるな。
しかし、言ってる事は普通に最低だ。

ジトっとした視線に気付いた井深さんが困った顔で弁解してくる。

「俺は結婚願望ないってフェアに先に宣言してるの。それ理解して近付いたくせに文句いう方が間違ってない?」

「間違ってるかもしれないですけど、だからって言い訳にはならないと思います」


一応、同じ女子だから理解出来る。私なら彼の気持ちを変えられるんじゃないかって、彼女達は期待して付き合うのだ。

「とりあえず、これからは社内はやめといた方がいいと思いますよ?」

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