御曹司様のことなんて絶対好きにならない！
その日一緒のテーブルに着いたのは私と知恵ちゃん、既婚者の先輩２人。
仲の良い人達に囲まれた席で私は食欲を全開にさせていて、女子にしては多い量の肉をパクついていた。


「鈴木さんって美味しそうに食べるね」

急に斜め上から聞こえた声にもぐもぐと咀嚼しながら視線をあげると、そこには眩しい笑顔を浮かべた我が社の御曹司、垣内将生さん。通称「坊っちゃま」がいた。


同じ歳だが短大卒の私と大学卒の垣内係長は同期ではない。しかも御曹司な彼は畏れ多いと、私は彼に極力関わらないようにしていた。
彼の周りにはいつも肉食女子さん達がいるし仕事でも一緒になることがなかったので、この日まで６年、挨拶以上の会話をしたことが一度もない、


突然のことに咀嚼していた肉をゴクリと飲み込むと「はぁ‥‥」と腑抜けた返事をした。


同じ課の係長に緊張するなんて、私もやはり御曹司というブランドに弱いのか？なとど心の中でツッコミつつそのまま固まっていると、垣内係長は笑顔のまま私の対角に座る。
< 7 / 148 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop