御曹司様のことなんて絶対好きにならない!
「少し遅れてしまって申し訳ない。では、早速始めましょう」

係長の声を聞きながら、3人にお茶を出す。夏はまだ先のはずなのに今日は暑いから、アイスの緑茶。コーヒーは取引先でも出してもらう事が多いから、あえての選択。
急いで帰ってきたから係長も井深さんも喉が渇いてるはずだしね。


テーブルに置かれたグラスを見て、係長が目を細めて微笑んだ。
私の気遣いに気付いてくれたんだろう。

再び話し出す前に、グラスの緑茶をグイッと飲み干した。

「鈴木さん、ありがとう。冷たいモノが欲しかった所だったんだ」

いえ、と会釈して席に戻ると井深さんもお礼を言ってくれた。

「ホント、生き返ったー。しかもコーヒーじゃなくて緑茶っていうのが気が利いてるし」

お茶一杯でそんなに褒められると恐縮してしまう。

褒めすぎです、と返答に困ると今度は尾関さんが口を開いた。

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