御曹司様のことなんて絶対好きにならない！

「お世辞じゃなくて、こういう気遣いは鈴木さんの長所だよ。伝票なんか頼んでも、鈴木さんは後で使いやすいようにまとめといてくれるでしょ？いつもありがたいなーって思ってたんだ」


なるほど。グループが違うのに尾関さんから書類作成を頼まれる事が多いのは、やっぱり気のせいじゃなかったのか。

反応に困ってヘラっと笑って返すと、係長も優しい笑顔を浮かべていた。
もしかして、係長もそう思ってくれてるのかな。


ひとつ頷くと係長が私にたずねた。

「鈴木さんから見て、今回上がってきたレシピはどう思った？」

私だから気付いた事を話して欲しいっていわれてるんだ。緊張からこくんとひとつ息を飲んで、私は話しだした。

「正直、あまり惹かれませんでした。これならアーモンドで代用できてしまうんじゃないでしょうか？この商品の売りである香りと甘さをもっと引き立てて欲しいと思います」

「それは俺も同感だなー。バリエーションが広けりゃいいってもんじゃないんだし」