御曹司様のことなんて絶対好きにならない！
それは係長が何度も言っていた事だ。

「今回のように情報を意図的に操作している時、１番大切なのはタイミングです。焦らした挙句発売するのが遅ければ興味は失われてしまうでしょうし、焦らし足りないとあまり興味を引きません」

「まるでタチの悪い女性の恋愛テクニックみたいですね」と笑いながら軽いタッチで話していたけれど、その内容は決して軽くない。
なんなら、今回の計画に１番必要な情報だ。


もちろん井深さんもそんな事は分かってる。分かっているからこそ、こんなにまいっているんだ。

「どうしますか？」

「とりあえず係長と尾関さんに連絡だな。で、俺は近隣の他の港から輸出出来ないか聞いてみるわ」

「はい。じゃあ係長と尾関さんには私から連絡しておきます」

お互いに確認して、すぐに作業にかかった。


係長も尾関さんも営業に出ているんだからメールの方がいいだろう。至急連絡が欲しいと入れておいた。
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