御曹司様のことなんて絶対好きにならない!
調べてくれたところによると、やはりストは元国営企業や国内企業に限られていた。しかし港湾作業はどこかに必ず国内企業が絡んでいるので、輸出出来ないという結論に変わりはないらしい。

残念そうに報告する井深さんに係長は良かった、と笑うと軽快な調子で話し出した。

「では、空輸しましょう。飛行機なら外国籍の企業だけで運行している線もありますし、海上輸送に比べてずっと早く届きます。
もちろんストが拡大する事も十分考えられるので、すぐに手続きをするべきですが」



いやいやいや!空輸っていくらすると思ってるんだ!?あまりの事態にポンコツになっちゃったのか!?


余りにお気楽な口調に、おもわず脳内で1回ツッコミを入れてしまう。この口調のままツッコンだら、流石に社会人失格だもんね。



「ですが、空輸だと輸送料だけで莫大な金額になります。間違いなく大赤字ですよ」

やっぱり年の功、いざという時頼りになる。
私が脳内で自分を冷静にするより早く立ち直った尾関さんが、係長に聞いた。
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