御曹司様のことなんて絶対好きにならない!
「今度予定合わせようよ。俺、来週は忙しいんだけどその後は時間作れそうだからさ」

爽やかに、けれど拒否する間を与えず、にっこり笑顔を残して彼は違う席に移動していった。



そして翌日、事実を盛って尾ひれも背ビレも付けた噂話が会社中を駆け抜けた。


『坊っちゃまが同じ部の女子社員に告白した』


‥‥どうかしてる。告白なんてされてないし、だいたい興味を持たれたのは私じゃなくて私の食欲だ。男女の関係になんて発展する訳がない。

だが肉食女子達には無視出来ない情報だったのか、あちこちでチラチラ見られたりコソコソ話されたり。

すごく不愉快だったけど、次の噂が出たら忘れさられる。と反応しない事にした。下手に反論したら火に油を注いじゃいそうだったし。



でもそんな私の予測は楽観的過ぎたらしい。

一週間後、私の席の隣に来て、坊っちゃまがのたまったのだ。

「食事、いつにする?」
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