きもち

彼side




聞こえていた


聴いてくれていた


声を掛けたら止まってくれた


振り向いてくれない


「ごめん」


言いたかった一言


あの時の電話からずっと


戻りたい


また、笑った顔を見ていたい


「好きだ」


振り向く前に、逃げられる前に


捕まえて言った


「愛してる」


後ろから回している手にそっと添えられる小さな手


少し震えながらも伸ばしてくれる手


その手離さないように握る



逃がしたくない


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