*短編*放課後、きみとわたし、おなじ赤。
ほかのクラスメイトよりは話すから、きっと仲がいい部類に入るんだろうけど、ただの〝友だち待ち〟という共通点がときどき発生するだけの、そんな間柄だ。
「それなら俺は見られたほうだな」
いつもと同じ、淡々とした調子で廣田が答える。
相変わらずスマホからは顔を上げない。
「え? そうなの? てかわたし、廣田はゲームにしか興味がないと思ってたんだけど」
「失礼だなおい。俺だって一応、男だぞ。好きなやつくらいいるわ」
「てことは、現在進行形なんだ?」
「まあな」
「へぇ……」
照れたり、はぐらかしたりせずにオープンに好きな人がいることを公にできる廣田に、思わず相づちが止まる。
本当は誰なのか聞きたい気持ちもあったけれど、特に開き直っているふうにも見えないそれは、なんだか逆に、これ以上の質問はさせない雰囲気があった。
--あ。赤い。
だけどふいに、スマホの大きさでは隠れきれていない廣田の耳たぶが赤くなっているのを発見して。
ああ、廣田もちゃんと男の子なんだな、なんて妙に納得してしまった。
そりゃ、好きな人がいるって話すのって勇気いるよね。