*短編*放課後、きみとわたし、おなじ赤。
でも、ボロが出ないうちになんとかして逃げ切らなきゃ、という思考回路にだけは、どういうわけか至らなかった。
それは先に廣田が好きな人がいることをオープンにしたからなのか、それとも誰かに話を聞いてほしかったからなのか。
「……ひ、廣田はさ、わたしには最初から望みがないって思ったりしてた?」
「え、」
「廣田の言ったとおりだよ。友だちが、なんて嘘。わたし、汐崎が好きで。もっと仲良くなって、地固めをして、それから――って。……思ってたんだよ。でも、汐崎が恋に落ちる瞬間をたまたま見ちゃって。ほら、そういうのって、好きな人ならどうしてもわかっちゃうじゃん。その瞬間、告白しなくてセーフだったなって普通に思った自分にへこんで。それで今、自分でもどうしたらいいかわかんなくなるくらい、どうしようもなくなっちゃってるんだ……」
どちらにしても、一度口を開いてしまったら、真っすぐに瞳を向けてくる廣田を相手に取り繕うことなんてできなくて。
机に額を押し付けると、今まで胸の中にため込んできたさまざまな色の感情を、取り留めもなく吐き出した。
「……質問の答えだけど」
「うん」
「俺は応援できなかったよ」