*短編*放課後、きみとわたし、おなじ赤。
廣田の答えに一拍遅れて「……そっかぁ」とだけ返事をする。
ということは、汐崎の親友の目から見たわたしは、箸にも棒にもかからない存在だったということだ。
汐崎の親友である廣田が〝応援できなかった〟と言うくらいだから、廣田はきっと相当、無謀な相手に恋をしていると思っていたに違いない。
「滑稽だなぁ、わたし……」
なんだかな。
まるで道化役みたいで涙も出ないや。
「おい、勘違いすんな。望みがあるとかないとかは関係ない。今言ったのは〝俺が〟応援できなかったんであって、べつにお前は滑稽でもなんでもねーよ」
すると、頭の上からまた淡々とした声が降ってきた。
思わず顔を上げそうになると、けれどいつの間にスマホから手を離していたのか、軽く頭を押さえられて頭の位置を固定されてしまう。
五本の指先だけで押さえてくる廣田の手の感触が。
その、やけに熱い体温が。
髪の毛越しに伝わって、その瞬間、汐崎に感じていた胸の圧迫感も、汐崎が自分以外の誰かに恋をした瞬間を見てしまったときの苦しさも、根こそぎ〝廣田〟に持っていかれてしまった。
「……それなら俺は見られたほうだ、って言ったのには続きがあって」