カモフラージュ
母は口に手をあて、兄は目を見開き
紀香さんは、兄に寄り掛かった。
千尋は、足が震え出し、嗚咽を漏らした。
先生がベットに近づき・・・最後の言葉。
「お父さ~ん!お父さん!親父ー!」
声が出なくなるまで呼び続けた。
でも、父が目を覚ます事は無かった。
嫌いだと思っていた父
嫌われていると思っていた自分
初めて知った父の愛情
千尋は、立っていられなくなり
病室の床に座り込んで、泣き続けたんだ。