カモフラージュ

絶妙なタイミングで美月から電話。


「早かったね?ご飯とか行かなかったの?」


「紅葉を見に行って帰った」


「ふ~ん、紅葉ねぇ」


腑に落ちない言い方。


「人混みが苦手なんだって」


「苦手じゃなくて、見られたら困る?

                とか・・・ハハ」
  

「なんで?」


「ううん。

 別に深い意味はないけど

 千尋が夜の仕事してるから

 気を使ったのかなぁと思って?」



ああ、お客さんに見られると困るから?


そうなのかぁ



「それで、付き合う事になったの?」


「そんなー、まだ早いっしょっ?!

 でも、色々話してめっちゃ楽しかったし

 あの笑顔を近くで見て、思わず

 好きです!って言いそうになったよ!

 でも、軽い女って思われたくないから

 必死で止めたけどぉ」


電話なのに、恥ずかしくて顔を覆った。


「分かるよぉ!声が弾んでるもん!」



だね。




< 152 / 325 >

この作品をシェア

pagetop