カモフラージュ
絶妙なタイミングで美月から電話。
「早かったね?ご飯とか行かなかったの?」
「紅葉を見に行って帰った」
「ふ~ん、紅葉ねぇ」
腑に落ちない言い方。
「人混みが苦手なんだって」
「苦手じゃなくて、見られたら困る?
とか・・・ハハ」
「なんで?」
「ううん。
別に深い意味はないけど
千尋が夜の仕事してるから
気を使ったのかなぁと思って?」
ああ、お客さんに見られると困るから?
そうなのかぁ
「それで、付き合う事になったの?」
「そんなー、まだ早いっしょっ?!
でも、色々話してめっちゃ楽しかったし
あの笑顔を近くで見て、思わず
好きです!って言いそうになったよ!
でも、軽い女って思われたくないから
必死で止めたけどぉ」
電話なのに、恥ずかしくて顔を覆った。
「分かるよぉ!声が弾んでるもん!」
だね。