カモフラージュ
その扉は音がしないので
2人とも気づかなかった。
マスターと純ちゃんが手を繋いで
見つめ合ってたんだ。
千尋は呆然として立ち尽くす。
2人は手を離し、唖然とした顔で
千尋を見ていた。
何がどうなってるのか・・・
理解出来ない
2人の視線を感じながらも
何も言わず、キッチンを後にした。
その様子に美月が気づき、声を掛けてきた。
「千尋、どうしたの?」
「・・・」
「ねぇ?」
頬を軽く叩かれ、我に返る。
「今ね、マスターと純ちゃんが
キッチンで手を繋いで、見つめ合ってた」
「はあ???」
美月は、目と口をめいいっぱい開いて
大きな声で叫んだ。
その声に驚き、2人がキッチンから
おずおずと出て来た。