カモフラージュ

「どうしよう、我慢出来る?」


「チヒロ・・・チャン」



今、千尋って言おうとした?



「ビョウインジャア、ナオラナイトオモウ」


聞こえ難いので、耳を近づけた。


「アイタカッタ・・・」


「え?何て?」


「チヒロ」


「はい?」


「好きだ!」
      

急に大きな声を出し、彼はまた下を向いた。



「何言ってるか分かってる?」


少し強い口調になった。


「ウン」


「・・・それって・・・

 不倫しようって事だよ?!

 あたし、気持ちの整理つけようと

 一生懸命頑張ったんだよ!

 友達にたくさん迷惑掛けて

 いっぱい泣いたんだよ!

 年が変わって、仕事も変わって

新しい自分の居場所を探そうと思って・・・」



ホントは、そんな事言いたいんじゃない!




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