カモフラージュ
何とか渋滞から抜け出し、細い路地を入ると
遠くの方にホテルの看板。
「あれ」
千尋は指を指す。
「え?」
「抱いてなんて言わないから・・・」
「前にも同じ事言ったよね?
でも、今日は意味が違う」
「一緒!ただ、2人だけになりたいの」
前とは違うよね?
気持ちが違うよね?
彼がドアを開けてくれて、2人でソファへ。
「千尋って呼んでも良い?」
「ハハ!もう、呼んでるし」
「ごめん。
どうしても忘れる事が出来なかった。
千尋とのメールを何度も読み返したり
デジカメの千尋の笑顔を見て
癒されて、少しは安心出来た。
でも、やっぱり辛くて・・・
俺には責任がある!そう思って
娘との時間を大切にしようと
出来るだけ家にいる事にした。
でも、娘の笑った顔が千尋とかぶって
余計会いたくなって・・・」
彼が優しく笑って、手を握った。