カモフラージュ
彼の手に力が入る。
「強がってない?」
「ない!と言えば嘘になるけど・・・
誰にも言えない恋?!
誰にも祝福されない恋だよ?」
「・・・」
「あたしは、出来てるけどね!」
彼はもの凄く驚き
身体に電気が走ったように立ち上がった。
「急に立つからビックリするじゃん!」
「う、うん。」
頭が混乱している。
「前にも不倫の恋をした。
でも、奥さんと別れて欲しいとか
子供の事は言わないでとか、思った事ない。
まあ、本気じゃ無かったからね。
今も、そんな事は思ってないよ!
悪い事だとは思うし、間違ってる!
でも、一緒にいたい!
遠くからじゃなく、隣にいて欲しいと・・・
見守るんじゃなくて、触れたいと・・・」
「千、千尋?」
彼は、立ったまま挙動不審!
千尋は、タバコに火を点けて彼に渡し
天井に上がる煙を、なんとなく見ていた。