カモフラージュ

刹那


今は自宅療養中で、久しぶりに会えた時


シュンに笑顔は無かった。


《 本当に申し訳ない。

 俺の入院費が払えなくて、また借金した。

 だから、お金が無い。何処にも行けない。》


シュンは、いっぱいいっぱいだった。



千尋は、少しだけ貸してあげる事にした。


シュンは、最後まで受け取らなかったけど


無理やりカバンに押し込めて帰った。


返ってくるあては無い。


でも、それでも良いと思った。


あたしがしてあげられる事は


なんでもしてあげたかった。



そして、シュンが仕事復帰したのは


桜が満開の頃だった。


前の会社は、2度目に入院した時に辞めた。


そして、長距離トラッカーになった。


2人目が産まれるので、給料の良い所へ。


身体の事が心配だったけど


その部分で、千尋は口出し出来ない。


休みが不規則で、約束も出来なかった。




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