カモフラージュ
《失礼しました》と言って
階段を駆け足で降りた。
千尋・・・何処行ったんだよー!
事故?
誘拐?
悪い事ばかりが、頭をよぎる。
其処へ、さっきのおじさんが来た。
「ああ、川崎君、ご苦労様だったね」
「いつも、お世話になります。
あのー、俺の連れの女の子知りません?」
おじさんは、ニコニコしながら
シュンの肘を突いた。
「川崎君も、タフだねぇ?
あの、可愛い子は彼女だろ?
さっき話してすぐに分かったよ」
「さっきって、いつですか?
話って、何を話したんですか?」
「何?って、《妹さん》って聞いたら
困った様な顔してたなぁ
奥さんじゃあないから、彼女だろ?
前、奥さん連れて来てたから。
その事言ったら、凄く驚いてねぇ・・・
悪い事したかなぁ?ごめんよ」
おじさんの笑顔が消えていた。