カモフラージュ

長い商店街を抜け、また大通りに出た。



どの位歩いただろう


でも、歩いて帰る訳にも行かないなぁ


お金も無いし


知り合いもいない



シュンも心配してくれてるかなぁ


突然、いなくなったら・・・


探してくれてる?


仕事が遅れちゃうよ


社長に怒られてクビになったら・・・


駄目!駄目!駄目!


それは駄目だ!


帰ろう


あたしのわがままで


関係ない人にまで迷惑掛けてしまう



千尋は、立ち止まり向きを変えて


来た道を思い出し走った。


何度も人にぶつかりながら


何度も頭を下げながら、とにかく走った。



商店街の出口が見え始めた頃


「千尋ー!・・・千尋ー!」


叫び声が聞こえた。



あぁ、探してくれてたんだぁ




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