カモフラージュ
「魚昌で~す!」
いきなり元気な声がした。
「ああ、社長いつもお世話になります」
礼を言って、社長は伝票にサインをした。
「お鮨来たよ~!」
美月が運んでくれる。
千尋は、社長のお鮨を取り分けてあげようと
思い尋ねた。
「何が好きですか?」
「俺はいいから・・・
他のお客さんに分けてあげなさい」
「折角だから・・・和馬さんも・・・」
真由美さんの言葉に首を振り、立ち上がる。
急いでカウンターから表に出て
真由美さんとドアの前でお礼を言って
深くお辞儀をした。
「後は、千尋が送ってあげてね」
「はい?」
「失礼のないように
ちゃんとお礼を言いなさいね」
「分かりましたっ!」
社長より先にドアを開け、外で待つ。