カモフラージュ
「結婚式はしない。
籍だけ入れて、此処に一緒に住むから」
一緒に住むのかぁ
ちょっと凹むなぁ
「紀香さんも納得しているのか?」
「うん」
「お父さん、良いの?」
母が不安そうに聞いた。
「もう、大人だから反対する事もない」
父は淡々と答える。
23歳は大人なのか?
「ちょっと順番が違うけどね!
おめでとう!雅紀」
母は素直に嬉しそう。
あたしも何か言わないと・・・
「アハハ!兄貴、下手したねぇ?」
楽しくもないのに笑ってみた。
「まあ、予定が早まっただけだから」
兄が、千尋に笑い掛けた。
「そっかぁ、おめでとう!」
千尋も、精一杯の笑顔で祝福した。